機械式

機械式と言えば「時計」の事です、私が普段使っている腕時計は「手巻き機械式」や「自動巻」の時計で、すでに20年以上にわたって使い続けている物ばかりです。これを言うと、少し前までは「今はデジタル式の時計が安く買えるのになんでそんな物してるの?」って必ず言われました。最近は「腕時計なんかいらないでしょう、携帯の画面に時刻が出ているから」っていって時計を全く持っていない人を多く見かけます。しかし、こういった人とは別に、腕時計を愛用している人はほとんどアナログ針の時計をお使いになっているようです。ではなぜ携帯の画面の時計があるのにわざわざアナログ表示の腕時計をしているのでしょうか。それは「腕時計」がすでに「成熟した製品」だからです。たとえばあなたが音楽家だったとして、「新しい形のバイオリン」や「新素材のバイオリン」を欲しがりますか?欲しいのは「良い素材で」、「良い腕の職人さん」が作った「良い音」の楽器でしょう。
また、貴方が女性であれば、貴方が欲しいバッグは「良い素材」で「良いデザイン」で、「良いブランド」のバッグに違いありません、別に月探検隊なわけではありませんから最新の機能の新素材のバッグが欲しいわけではないでしょう。
つまり、「成熟した製品」とは、それが持つ機能はすでに必要にして十分なレベルに達していて、製品を選ぶ自由度が大きく、基本的には「単機能」であり、それゆえにその物の持つ「機能美」が明確に感じられる製品であるという事です。
我々が何かの製品を選ぶ行為とは、積極的にしろ、消極的にしろ、選ぶという「自身の判断基準」を外部に対して明確に表明する事になり、そうやって選ばれた物は結局その人の「ライフスタイル表現」の一部となるわけです。
ゆえに「成熟した製品」は、持ち主の「ライフスタイルの基準」をあらわすためのサインとしての位置づけを持っているのです。私が持っている「機械式腕時計」に惹かれる理由は、機械式という既に完成を見た構造であり、なおかつ十分な精度を得るための洗練された設計と品質を持つ製品ゆえに惹かれるわけです。間違ってはいけません、私は保守的な懐古趣味が良いと言っているわけではありません。私は実用性を無視した製品を選んでいるのではありません、実用性を機械式という手段の中で誠意を持って製作されている物のなかから、自分のライフスタイルに合った「クロノグラフ」を選んでいるのです。その辺の事をを理解していない無能な技術者が、テレビ付き腕時計や、腕時計型電話、さらには電子マネー機能付きの安物デジタル腕時計などの多機能を売りにした製品を作っても、誰も使わないのはわかりきった事のはずです、だってそんな物恥ずかしくって着けてられないですよ。
投稿日時: 土
- 6月 26, 2004 : 11:08 午前 前の記事: 次の記事: