IN THE WHITE
CITY(白い街で)
脚本・監督
ALAIN TANNER 主演 Bruno Ganz
1983年、ポルトガル・スイス共同製作国内未発売、「ニューヨーカー・ビデオ」の「グレートディレクターズシリーズ」にて、発売中いやー、しみじみと良い映画です…
IN THE WHITE CITY(VHS
VIDEO)
脚本・監督
ALAIN TANNER
主演 Bruno
Ganz
1983年、ポルトガル・スイス共同製作
国内未発売、「ニューヨーカー・ビデオ」の「グレートディレクターズシリーズ」にて、発売中
いやー、しみじみと良い映画です。ポルトガルの港町リスボンを舞台に、船を降りた男は、路面電車に乗り、白い街の風景を8ミリカメラでフィルムに収めて行く、そのうち船は出て行き、彼は酒場の2階の部屋を借り、酒場の女性と....こんな感じのストーリーですが、主演のブルーノ・ガンツ(ベルリン天使の歌など)がとても良いです。台詞の極端に少ない役ですが、中年男の疲れと希望を体現したこの映画での演技は彼の主演作品の中でも上位に位置するものだと思います。また随時挿入される手持ち8ミリカメラでの映像が、大変よい情感を醸し出していて、カメラの「ACACIO
DE
ALEMEDIA」の実力を感じる事が出来ます。
国内でも単館上映された事が有るという話がありますが、確認はしていません。
ただ、深夜のテレビで字幕付きで放映された事が何回かあるらしく、見て感動したという女性と会った事があります。ネット通販で買っても2000円位ですから、ヴェンダースなどがお好きな方は、なんとか手に入れてみてほしい映画です。
注意)事件も起きず、殺しも、ヌードも(少し有り)出て来ない映画なので、そういった事を映画に期待している方には合わない映画です、ヴェンダースやジャームッシュが好きな方にお勧めです、ご注意下さい。
投稿時間 08:23 午前
黄昏にマックの店で
ロストーマスのお得意の...
黄昏にマックの店で
ISBN4-15-203504-8
ロス・トーマス著
早川書房より定価1800円で発売中
マイケル・パディロとシリル・マコクールの2人を主人公にしたこのシリーズも4作目となり、今回は2人が経営するワシントンのバー「MAC'S
PLASE」を舞台に、CIAに雇われて色々な陰謀に関わった男の死と、残された回想録の原稿を巡ってのストーリーは、このシリーズの特徴である個性溢れる登場人物同士が国際的な陰謀の中でのプロ同士の緊張感溢れる「コン・ゲーム」を展開しています。
本シリーズの第1作である「冷戦交換ゲーム」で、爆破された「ベルリン」の店と同じバーをCIAに無理矢理出させた金で「ワシントン」に再建してからの物語ですが、その辺の事も含めて第1作からお読みになる事を強くお勧めいたします。また同様に登場人物達が大変個性的で魅力ある別のシリーズである「500万ドルの迷宮」や「大賭博」なども、登場人物同士がお互いに親戚関係になっていて、こちらも含めての一連のシリーズ全体が大変魅力ある物になっています。ぜひ、全ての作品をお読み下さい。あきらかにこの手の小説では一番のシリーズだとおもいます。
投稿時間 10:26 午後
ニューヨーカー短編集
III
都会的なニューヨーカー紙が作り出した世界は...
ニューヨーカー短編集
III
ナボコフ、マッカラーズ、パーカー、サリンジャー他
ISBN4-15-203080-1
早川書房から定価1600円+税で発売中されていました。
私は神保町の古書店で3冊揃いで3000円で購入しましたが貸した2冊は帰って来ていません。また買います。
おもうに、戦前の1920年代以降1950年代頃までの「ニューヨーカー」誌に掲載された数々の短編小説こそが、現代的な都会小説の始まりだったのではないか。遥か昔の1920年代に、若者達によって創刊されたこの雑誌の標榜する物は「都会的な洗練された雑誌」で、そのしっかりとした編集方針に沿って掲載され続けた短編小説が、都会を舞台にした小説として我々の共感を呼ぶのは当然だと思います。実際私はこの短編集の第1巻に収録されているアーウィン・ショーの「夏服を着た女達」が「都会的な小説」としては最も好きな物です。
さて、この第3巻には私の好きな「ショー」や「サローヤン」は含まれませんが、短編のほとんどを「ニューヨーカー」誌上で発表した「J.D.サリンジャー」の「愛らしい口元わが眼は緑」が収録されています。他の34人の作家は現在の日本ではあまり知られていない方も多いですが、大変良い作品ばかりで、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいと思いご紹介しました。
この短編集はハヤカワノベルスから定価1680税込みで発売されている事がわかりました、ぜひ全巻揃えて購入される事をお勧めします。
投稿時間 09:29 午前
最後の声
もっとも好きなミステリーシリーズ...
最後の声(原題 ダイヤモンド・ダスト)
ピーター・ラヴゼイ著
ISBN4-15-208540-1
早川書房から定価1900円+税で発売中。
はっきり言って海外ミステリー好きである。最近はほとんどの人が海外文学を読まない。以前お勤めをしていた頃の同僚達の読書とは、「NHKの大河ドラマの原作本を放映に合わせて買って来て、上巻だけで後は読まない」とか「赤川次郎の軽いミステリーを飛ばし読み」が習慣で、海外文学は「名前が覚えられないから嫌だ」とか「なんか難しそうでねえ」などといって敬遠していたものだが、その彼や彼女達が親となり、とうとう中年も若者も読書の習慣は全くといってほど無くなり、今や「読書」いわんや「海外文学」を読む事はある意味「上流のクラス」に属した人間か「芸術系」に属した人間だけの奇妙な行動ともとられる時代となった訳で、一般の書店ではまずこのような本を見かける事は無くなった。
この本もわざわざ神保町の三省堂まで出向いて購入してきた訳で、地方暮しは大変なのである。
さて、本書は英国のミステリーの名手「ピーター・ラヴゼイ」のダイヤモンド警視シリーズの最新刊である。第一作の「最後の刑事」以来、途切れずに翻訳刊行されているこのシリーズの魅力はイギリスの地方都市である「バース」を舞台に起きる難事件の直面する主人公の人間的な苦悩とイギリスの抱える社会的問題、描かれる地方都市のディティールなど、さすがに「ピーター・ラヴゼイ」とうならせられるものがあります。今回は主人公の妻の殺害という主題のせいか、いつものユーモアが幾分影を潜めていますが、難しい立場にたたされた「ダイヤモンド警視」の決死の捜査にはぐいぐいと引き込まれて読んでしまいました。次回作が楽しみです。
投稿時間 09:34 午前
下町酒場巡礼 もう一杯
懐かしい店満載、時は流れても変わらない世界が...
下町酒場巡礼 もう一杯
ISBN4-480-03829-9
筑摩書房 ちくま文庫 定価800円+税
さて、酒飲みには嬉しい本です、都内のなつかしい大衆酒場、立ち飲み屋、大衆食堂などを巡りながら、もつ焼き、牛筋煮込み、ホッピーなどについてのコラムを織り交ぜて構成された本書は、酒場を通しての下町人情レポートなっていて、酒場のカウンターの隅でホッピーを片手に読むのも一興ではないでしょうか。
私にはなつかしい酒場がいまだ健在なのを確認できただけでも800円の価値はありました。しかし本書や前書の「下町酒場巡礼」で取り上げられた酒場の多くが、区画整理や道路拡張の名目で、行政によりいまだ行われている「都市破壊」によって姿を消しているのはまったく残念なことです。あなたの街の駅前の裏路地にある「下町酒場」を再発見して、手遅れにならないように飲みに行ってやって下さいね。
投稿時間 08:07 午前
夢の球場の巡礼者たち
私の好きだった小説が映画化されて、それによって生まれた奇跡とは...
夢の球場の巡礼者たち
それからの「フィールド・オブ・ドリームス」
ISBN4-7942-1272-0
草思社から定価1700円+税で発売中。
この本は、1982年に出版された「W.P.キンセラ」の野球を題材に取った小説「シューレスジョー」を原作として、1989年に公開された映画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台となったアイオワの田舎町に残された球場のセットに起きた「その後」の本当の奇跡について書かれたドキュメントです。
あの映画の感動のラストシーンを覚えている方も多いと思います。あの映画のラストで登場人物の作家「テレンス・マン」が「そして彼らがやって来る」と予言して、ラストシーンで映し出されたトウモロコシ畑の球場を訪れる車の長い列。あの光景があの映画が公開されて2週間後に、映画と同じニューヨークから訪れた最初の巡礼者以来10年以上の永きに渡って、映画のラストの光景が現実のアイオワのトウモロコシ畑で起き続けているのです。
いまや映画のセットから始まってある種の「聖地」となった球場に亡くなった肉親との再会を願って訪れる人、積年の蟠りを捨てて和解する兄弟、此処で見られる極めて私的ながらスピチュアルな経験をする人々についての丁寧な取材で構成された本書は、小説から映画に、映画から現実世界にもたらされた「夢の球場」の感動のレポートです。
なお、私はこの夢の球場が作られた農場の持ち主で、映画に登場したあの家に住み、世界中から訪れる「ビジター」のために、その球場を維持、公開してくれていた「アロイシウス・アル・アメリカンプ」の自身の物語に感動いたしました、ご冥福をお祈りいたします。
投稿時間 08:35 午前